終了間際になってしまって諦めかけてたけど、観て良かった!物凄く楽しめました。
ただ、冒頭20分ほど集中できなかったのが悔やまれます。うるさいお客さんがいたからなんですが。
多少集中できる環境になってからは物凄い勢いでのめりこんで観ました。オカルト&法廷ものという新しいタイプの作品で興味をそそられてたけど、思ってた以上に面白い。とても上手く作られてるなぁと感じました。
とにかく主要人物がみんな素晴らしかった。悪魔に憑かれる少女エミリー・ローズの鬼気迫る演技はとても新人さんとは思えませんでした。彼女が出ているシーンの空気の張り詰めようといったら。悪魔憑きの怪演だけでなく平常心を保っている時の演技ももちろんきちんとしていて、より一層作品の深みが増しています。夢や希望あふれる女子大生の日々を送るはずだった普通の女性なのに、不条理な出来事に巻き込まれてしまった悲しさや切なさがもうそこはかとなく漂っている。劇中裁判の成り行きを固唾を呑んで見守る心理を巧みに操作されてしまっている自分を意識させません。もはや愛情を持って悪魔祓いを行ったとされる神父さんに感情移入するしかない状態ですよ。
神父さん役のトム・ウィルキンソンの静かな中にも熱い信念を持った演技にとてもひきつけられます。誠実を絵に描いたような素晴らしい人物として描かれており、検事の描写に比べると多少バランスが偏ってるかなと思わなくもないですが。まぁ超常現象を扱ってますからやや神父側に重心を置かないと陳腐な映画になってしまうのかもしれません。現にかなり超常現象を明確に描いているにも関わらず検事の演説を聞いていると「やっぱり精神病だよなー」と油断すると納得させられそうですから(笑)
この映画、広告などですでに少女の死を明確にしていますし作品内でもしょっぱなから死が明かされています。なので、裁判や少女の回想シーンを見ていてとても救いがないんですよね。結局誰も彼女のことを救えなかったんだなぁというやりきれない思いが常に心の片隅にある状態なんですよ。でも神父さんが彼女について自分だけが知りうる情報を裁判で伝えたいということを再三明言しています。終盤それが明らかになるんですが、結局死は避けられなかった、悲しい事実は変えられませんが、それまでずっと抱いていた救いのなさは気持ち良いほどなくなる。事実を元にした映画だそうでこのエピソードが本当のことなのかは知りませんが、そりゃもう感動しないわけにはいかないというほどよくできていると思いましたよ。
このエピソードはキリスト教圏、聖書がベースになっているので、宗教としてでなく単純に読み物として好きな私にとってはなかなか興味深いものがありました。他に6人の悪魔の名前が登場するんですが、これも思わず血圧が一瞬上昇しそうでした。黒くまがまがしい人影が映るシーンがあるんですが、この人影何枚かの羽が生えてるように見えました。一瞬だったのでよくわからなかったけど左右3枚ずつ6枚羽っぽくて、オー、ヤツか!?って気分に。本当に物凄い面々です。エミリーあんた凄いよ・・・って妙なところで感心したりなんか。
それにしても向こうの裁判ってエンタテイメント性が強いよな~とあらためて思いました。
柏ステーションシアターにて
エミリー・ローズ
THE EXORCISM OF EMILY ROSE
2005年 アメリカ
監督:スコット・デリクソン
出演:ローラ・リニー、トム・ウィルキンソン、ジェニファー・カーペンター