昔からファンタジー映画は大好きだったし、ディズニーパワーによる壮大な宣伝広告にのせられてけっこう楽しみにしてました。
ここ最近のファンタジー映画といえばどうしても「ロード・オブ・ザ・リング」とか「ハリー・ポッター」を連想してしまい、大掛かりな超大作である期待をしてしまいがち。
ナルニアもやっぱりその期待からはどうしても逃れられないですよね。そういう意味ではちょっと見劣りしてしまう出来映えというか、期待していたほどでもなかったという感想を持ってしまいます。
でもロードオブ以前の昔からあるファンタジー映画と比べて考えると、非常に満足のいく出来でもあると思えます。結局ファンタジーというのは子供の為の世界だし、主人公の心の葛藤がわかりづらいとか成長過程が描ききれていないとか、そういう部分はまぁなくてもいいのかな、なんてフォローしてみたり(笑)時間の経過がわかりづらかったのはマイナスポイントだと思うんですが、ある日突然ヒーロー然とした風格が漂ってしまうあたりは、純粋な子供なら可能なのかもしれません。世間の波にもまれてしまった大人では無理な急激な成長というか。・・・ちょっと苦しいかな(^^;とにかく良いことも悪いことも含め色々な経験を積んでしまった大人の視点で観ると、けっこうドラマチック度に欠けているのが最大の難点でしょうか。
なんだかんだ言って全体の出来はそれなりに良いので、もう少し丁寧さを心がけていればロードオブ並には仕上がったのでは。ロードオブは何を置いても監督の凄まじい愛情が感じられますから。ナルニアに関してはとにかくやっつけ仕事的というか、さほど作品に対するスタッフの愛が感じられないんですよね。無難に作りすぎて大切なものを見落としてしまった・・・ちょっとえらそうですがそんな気分にさせられました。
とは言うものの、第1章と言いつつ気持ち良く完結しているので、そのあたりはかなり評価できます。いっそのこと観客に連作ものであるという印象はあたえないように第1章というのはタイトルにつけない方が良かったかもしれません。原題ではついてないみたいなので日本独自のものなんでしょうかね。ロードオブのような売り方をしようと狙ったものなのか、親切心から続き物であるアピールをしてくれたものなのか。
細かいところではオープニングがとても良かった。タンスのある館に行き着くまでのシーンは傑作であると思います。あれだけの短時間で時代背景を描き、4兄弟の性格やどんな関係であるかをしっかり説明してくれています。ついでに言うならこの冒頭の戦闘シーンは後のナルニアでの戦闘と双璧をなしているのでは、といったなかなかの作り。戦闘での鳥系キャラの使い方が上手かったあたりにちょっとした裏設定がありそうに感じます。
それから出演者から始まってセットやセリフまわし全てが英国っぽい雰囲気で包まれていたのも感じ良かった。4兄弟そろいもそろってみんなソバカスだらけの物凄ーく平凡そうな子たち(笑)ファンタジーといえば断然、金髪碧眼の美男美女であって欲しいという気持ちはありますが、今回はこの4人がぴったりと世界にハマっていました。長男・長女は役柄のせいもあると思うけど、下の2人に比べるとやや地味すぎたかなーとは感じるけど。逆に下の2人、次男・次女はイキイキと演技している姿に好感度大。末っ子のルーシー役の子はこの年にしては上手いなぁといちいち関心させられてしまったり。ちょっと学芸会ノリというかカメラをかなり意識した演技ではあるけど、目の輝きがとても可愛らしかった。次男のエドマンドは振り幅の大きいなかなか難しい役を器用に演じたな~っていう印象。きっと普段から何をやってもそれなりに人並み以上にできる子なのでは。
魔女役は「
コンスタンティン」の不思議な魅力にあふれていた天使ガブリエルの人。プロフィールを調べるとなんと御年45歳!この圧倒的なキャラパワーでひたすら異彩を放っていました。ちょっと他と比べて浮いてるようにも感じたけど、子役・架空の動物に囲まれた中でのこれだけの演技は相当イっちゃってないとムリでしょう(笑)二刀流での戦闘も個性的だったし、なんといっても斬りつけた後のヘンな決めポーズがおかしいったらなかった(笑)
動物好きとして一つ思ったこと。意思疎通のできる動物と対峙した時、自分だったら頼み込んで思う存分毛皮をナデナデさせてもらったり、気が済むまで肉球をぷにぷにさせてもらうなぁ・・・。
MOVIX三郷にて
ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女
THE CHRONICLES OF NARNIA: THE LION, THE WITCH AND THE WARDROBE
2005年 アメリカ
監督:アンドリュー・アダムソン
出演:ウィリアム・モーズリー(長男)、アナ・ポップルウェル(長女)、スキャンダー・ケインズ(次男)、ジョージー・ヘンリー(次女)、ティルダ・スウィントン、リーアム・ニーソン(アスランの声)、ルパート・エヴェレット(キツネの声)