当時物凄く話題になってたと思うんですが、なんとなく観ないままきてしまいました。
リチャード・バックマン(スティーヴン・キングの別名)の小説「死のロングウォーク」にヒントを得ている、というエピソードを小耳にはさんでいたので反発心もあったのかも。
少し前に何かのクイズ番組でこの映画の映像がネタになっていて、ワンシーンが放映されたんです。
その時の映像がなんか素敵っぽい気がして、レンタルしてみました。ちなみにいつ行ってもレンタル中だった。いまだに人気があるのかな?
私が観たのは特別篇なので、オリジナルとは印象が違ってると思います。よりわかりやすく親切になってるのかも。
序盤、生徒たちがわけもわからないままBRに巻き込まれていく過程はなかなか面白かったです。
新鮮さもあり、拉致後の教室シーンが本編で一番楽しめました。
ただ、登場人物を紹介するという役割も担っている部分としてはイマイチの出来です。
みな同じ制服を着ているせいもあり、非常に見分けづらく、転校生のワルそうな2人と主人公以外、正直見分けられませんでした。
それ自体悪いことではないと思いますが、だったら後の展開でクラス42人全員にスポットを当てる必要はないのではとなるんです。
いちいち一人ずつ死んでいくところを見せますが、途中からどうでもよくなります。こういうのは普通に考えてカットするべき部分でしょうが!キタノの放送で報告するだけで済むのに。そういえば放送でも一人一人読み上げてたなぁ。しょうもないところにこだわりすぎ。
女子数人が立てこもる灯台のシーンは面白かったです。おそらく、一番現実的と思える彼女たちの行動(グループ化して小屋に立てこもって静かに暮らす)と、その後の展開がよくできています。
現代版(すでに古いですが)3年B組金八先生を意識してるっぽいですね。
今風を意識してか、女子の強さ・生存本能の強さみたいなのが異様に強調されていて、なんか気持ち悪いです。
それにたかが中学生でもう男女の愛に真剣に目覚めているというのも違和感があります。
ほとんどの生徒はどちらかと言えば友情を大切にする年頃だと思うし、好きな女子を命をかけて守ってやろうという意気込みは現実離れしているような気が。そのくせ色気方面の演出はわざと避けてる雰囲気もあります。
そういう部分と、女子が全員可愛らしいこと、主人公がもてまくりなことなどを考えて、一見テーマが深そうに見せかけた単なる男の妄想映画なのではないかと。
ヒロインも控えめで清純そうで古風な一昔前の女性像として描かれてますが、はっきり言ってあんな子存在しないと思います!いたとしても抑圧されているだけのかわいそうな人ですきっと。今風に作ってあるのに、あのタイプがヒロインであるのは皮肉すぎます。
で、肝心の主人公、藤原たつやがもっとも魅力のないキャラクターになってしまっているのはお気の毒です。
奇麗事だけで偽善者臭くすらある主人公より、欲望むきだしの悪のほうが魅力があるのは演出だけのせいじゃないでしょう。
あの主人公に似たタイプはいつどんな時代でも実際に存在していて、それと意識することなくひたすらまわりに迷惑をかけながら、他人を踏みつけながら自分の理想をふりかざして生きていくんですよ。なんかアメリカっぽいですね。911以降のアメリカは変わったかもしれませんけど。
メイキングで監督がアクション映画であると言っていたけど、正直ダメすぎます・・・。
全員の死に様を見せることに力を注いでしまったせいか、見どころがなくなり、全体の印象も薄まり、慣れが進んで退屈になってしまいます。
セリフもモゴモゴこもってて聞き取りづらいし、何がどうなってるのか動きもよくわかりません。
一番見せたいもの、伝えたいことは何なのか、私には全然わかりませんでした。
一個だけめっけもんは悪魔のような謎の転校生。あの人めっちゃかっこいい!痩せすぎて頬がげっそりこけてるところとか好みや~(笑)
確かセリフが一つもなかったような気がしますが。あれくらい行き過ぎてるほうが映画として楽しいです。
全体的に笑っていいのか困るシーンがいっぱいありました。ナイフではあっさり即死してるのに弾丸何発もくらってもゾンビ化したりとか、笑いたいけど笑えないみたいな。あと鍋のふたばかにすんなー!
バトル・ロワイアル 特別篇
2001年 日本
監督:深作欣二
出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、ビートたけし、柴咲コウ、栗山千明